まだ少し待っててね

20歳の次男が2017年4月に自死しました

迷いびと

次男は、幼稚園の遠足でも、博物館でも、スキー場でも、

どこへ行っても、しっかりと手を繋いでいないと、

居なくなってしまう子だった


ナンジャタウンに連れて行った時には、

1日に8回も迷子で受付に行く事になり、

係員に笑われてしまった






小学4年生までは捜索願の常連で、

「またですか」と警察に言われる事もあった

迷いびと放送も、何度掛けたかわからない


仲よくしていたパパ友に、父子家庭の人がいた

海や山のバーベキューなどに、私達を頻繁に連れて行ってくれた


「小学生の頃に、サラミを1本持って、1週間くらい家出した事があるんだよね

公園とかに野宿したりしてね……」


その人の昔話を、次男は目を輝かせ聞いていた

私は、嫌な予感がした


小4になった次男と、中1になった長男が、

夜になっても帰らない事があった


捜索願を出すと次の日の昼に、2人は健康ランドで確保された


2人は「公園の滑り台で、星を見たりしながら寝た」と言っていた

「寒いし疲れたから温まろう」と、健康ランドに行くと、

警察署から連絡が来ている男の子2人だな…と思った係員が、

2人がお風呂に入るのを確認した後に、警察署に連絡をしてくれた

そして警察署から、うちに連絡が来た


この“公園で1泊の家出"を最後に、次男は勝手に居なくなることが無くなり、

よく居なくなったりしてたのも、まだ小さかったからなのかな…

そう思っていた


「いつも勝手に居なくなったら、だめなんだからね」


小さな頃から何回も何回も何回も、言って聞かせ続けたのに、

次男は、また私の元から、

この世界からも勝手に居なくなってしまった