まだ少し待っててね

20歳の次男が2017年4月に自死しました

お墓の心配

「お骨は、どうしたらいいんだろう?」

「うちの実家の墓に入ればいいよ」

「まだ入籍もしてないし、次男は苗字が違うのに…」

「そんな事なんかで、うちの両親が駄目なんて言う訳ないじゃないか」

私と彼氏は、斎場の帰りに話した


「お骨を迎えに行こうか?」彼氏のお父さんは言ってくれた

「お盆に連れて行くから大丈夫だから」彼氏が断った

「何も心配いらないからね、こっちで位牌も作っとくよ」と言われたが、

位牌は自分で選びたかったので、戒名だけお願いした



彼氏の両親が、私と子供達との初対面の時には、

「一気に娘と孫4人が出来た」

「いつ籍を入れる?結婚式は何処そこで良いか?」

と、とても喜んでくれた


幾ら「入っていい」と言ってくれても、

入籍もしてないのに、お墓に納骨するなんて、

親戚の手前もあるだろう


彼氏は初婚だし、私は離婚歴があり、子供が4人いる

今までは「もう失敗は嫌だ…」と、踏ん切りが付かなかった

でも、次男をお墓に入れて貰うという事は、そういう事なんだよね…と考えた私は、

「来月、入籍しよっか」と言った



東北のお母さんが、私宛に送ってくれた手紙に、

“禅山希心信士"という、戒名が書かれていた

次男の名前から一文字を入れてくれた

頼んでないが、大好きな“山"も入っている

「立派な戒名を有難うございます」

と、耳が聞こえないお母さんに、メールでお礼をした


次男が大好きだった桜の木で位牌を注文し、

遺骨ペンダントには、桜を彫って貰った


私は、祖父や祖母のお墓に、戒名が彫られているのを見た事はあったが、

今回の事で、初めて戒名の意味を知った


祖父が亡くなった時に、閻魔様の審判の話を祖母がしていた事は忘れていた

「49日まで魂は好きな所へ旅をするんだよ」と、

次男のお友達が教えてくれた時に、

昔、祖母が話してた様な…と、少しだけ思い出した


パシッ

台所で音がした

「あ、次男くんが来ているね」

少しの時間だけ、家族全員で次男を感じた


すぐに次男は行ってしまった

「今は何処を旅してんのかな?」私が言うと、

「きっと行った事の無い山だよ」彼氏が答えた





次女が次男のお友達に、次男が家に帰ってきたと教えた

その時に、次男の友達がグループラインで話した会話だと、次女にスクショを送ってくれた




こたつでお昼寝中の次男と白黒猫


この子を息子達は、子猫の時から小さなにゃんこだから“こにゃ"と呼んでいた

「もう大きいんだから“だいにゃ"でしょ」と私が言うと、

次男は「ツボにはまった」と、いつまでもいつまでも笑っていた