まだ少し待っててね

20歳の次男が2017年4月に自死しました

百人一首

たち別れいなばの山の峰に生ふる
まつとしきかば今帰り来む(在原行平)



次男の誕生日の次の日、うちのキジトラ猫が家から消えた
来年19歳を迎える老猫は、完全室内飼いで、外に出たことが無い


いつもだったら、私がベッドから出ると、足元にまとわりつく

ご飯をあげる時も、スリスリと私の足に顔を擦り付けるキジトラ猫が、
7日の朝は名前を呼んでも姿を見せなかった

寒いから子供のベッドで爆睡しているのかな?と思い、
私は通院している病院へ出掛けた
帰りに、キジトラ猫が大好物のおやつ、“焼きかつお"をまとめ買いし、帰宅すると、
いつも玄関でお出迎えする猫達が、白黒猫しか居なかった


家中のクローゼットやTVの裏、ベッドの下などを探したが、キジトラ猫は見つからず、
神隠しにあった様だった


キジトラ猫は、食欲があり元気だが、最近は認知症気味で動きが緩慢になり、
去年の夏からは、てんかんが始まった
動物病院に連れて行っても、原因がわからないと診断されたが、
私は、ネットで見た“トムとジェリー症候群"かもしれないな…と、思っていた
初めての発作は携帯の目覚ましで、それからはビニールの音にも反応し、
今では頻繁に、てんかんの発作を起こす様になっていた



夜になってからは、家族全員で近所を探したが、見つからなかった
私達の隣で、ぬくぬくと安心してお昼寝していたお爺ちゃんのキジトラ猫が、
この寒空の中、外で生きていける訳がない



おまじないをすれば、猫が帰ってくるかもしれない
私は、猫の餌皿の3ヶ所に“寅"と書き、その中に百人一首を書いた紙を入れて、
皿を裏返し、玄関の外に置いておいた


それから2週間が経つ
次男が守ってくれている、きっと帰ってくる…そう思っている



これは、うちの猫たちではない

偶然、似てるのを見つけた

よく見ると顔は全然違う



子供達も夫も「写真を見せて描いて貰ったのかと思った」と驚いてたが、
偶然、うちの子達に似てるな…と思って見つけて購入した
次男もこの絵葉書を、よく眺めていた



キジトラの紹介


長女がキジトラ動画を撮っていた

声変わりする前の次男が、

「右手です」「耳の裏、ふわふわ」「髭が無駄に長い」「にゃおー」と言っている