まだ少し待っててね

20歳の次男が2017年4月に自死しました

火事騒ぎ

子供達が小さかった頃、よくレンタル屋で新譜のシングルCDを借り、MDに録っていた


スピッツの“正夢"を新譜で借りてきて、いつもの様にダビングしている時、
私は、鳴っていたインターホンに気付かなかった

長男が出たらしく、私を呼びに来た
夜8時過ぎだったので、こんな夜に誰だろう…と玄関を開けると、消防士が数人で聞いてきた
「皆さん、大丈夫ですか?」
訳が分からず「え?」と、答えると
「とりあえず、皆で建物から避難して下さい」と急かされ、

私と子供達は、5人でマンションの外に出た
下には消防車が3台と、救急車、パトカーと警察のバイクが数台あった


「これで全員、避難済みです」と消防士が言い、私は聞いた
「何があったんですか?」
「住所とマンション名を言われ、火事で燃えていると、男の声で通報があったんです」


結局、誰の通報か分からず、イタズラという事で終わった
「通報があったら、必ず現場に行かないといけない
こういう事をする愉快犯は、たぶん野次馬で見に来たりしている
ここは大丈夫だと思うが、この騒ぎの中、泥棒に入るスパイダーと呼ばれている男が居るので、戸締りに気をつけて」
と、巡査に言われた


家に入ると、家の電話が鳴っていた
「放送で聞いたんだけど、あんた大丈夫なの?」
学童の先生だった
「イタズラでした、こうやって電話に出れてるし」
私が笑って答えると、
「それもそうだね、家が燃えてるって聞いたから、
毛布とか持ってってやんないとって用意してたんだけど、イタズラで良かったよ…
あんたんとこは男が居ないんだから、戸締りに気を付けてよ」


スピッツの“正夢"を聞くと、いつもこの火事騒ぎを思い出す



スピッツ / 正夢




リフトの上の長男と次男