やりとり
「次男くんは借金がありましたか?」
「いいえ」
「最近、医者に掛かったり、薬を処方されたりは?」
「たしか1月頃に、風邪で高熱が出て内科に掛かりました
薬は咳止めと頓服だと思います」
「死にたいと口にした事はありますか?」
「いいえ」
「タバコやお酒やギャンブルは?」
「いいえ」
「職場が嫌だとか、友人関係の悩みとかは?」
「仕事は楽しいと言っていたし、友人関係の悩みも聞いた事ありません」
「眠れないと聞いた事はありましたか?」
「仕事を休んでいる間、幾らでも眠れる
寝過ぎてしまって困るとは言ってましたが…」
「自宅の近所に〇〇という薬局が、ありますね?
そこでドリエルという睡眠薬と、パンとガムを買っています」
見せられたレシートの時間は、4月28日の11:30過ぎだった
「ヘリウムガスの商品名はバルーンタイム、
かなり大きな物ですが、
自宅で見た事はありませんでしたか?」
「ありません」
「夜の8時前に、大きな荷物を何個か持った少年を見たと、
最寄の駅長が確認しています
駅を出てから山に登りテントを張り、中でドリエルを飲んだ後に、
装置を被り実行したと思われます」
1時間ほど、色々と聞かれると
「支度が出来たので確認お願いします」と言われ、霊安室に移動した
次男は部屋の真ん中で横になっていた
触ると氷の様に冷たい
5日間もテントの中に居たのに、
においも全く無く綺麗で、
ただ眠っている様にしか見えなかった
「次男くん、何やってんの?」
話しかけた瞬間、涙が溢れ出てきた
これは次男が4月28日に、うちの近所の薬局で買ったパンだ
ガムとドリエルはテント内に残されていたが、
パンは次男の机の上に置いてあった
次男は、このパンが好きで、よく食べていた
買ったが、逝こうと決めたら食べられなかったのではないだろうか…
たぶんあの日は、何も食べずに山に登ったのではないだろうか…
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