まだ少し待っててね

20歳の次男が2017年4月に自死しました

バルーンタイム

横になっている次男を家族で囲む


私と長女と次女は、声を出して泣いた

長男と彼氏は、黙ってじっと見ていた


こんなに心配させて何やってるのと、

ひっぱたいてやりたかった


次男は裸にされて、肩の少し下から布を被せられていた


「事件に巻き込まれたりしてないかとか、色々と調べる為に、

服を脱がさせて貰いました」

と刑事が言った


霊安室の外は駐車場になっていて、

そこに色々な次男の荷物が並べられていた


「このリュックにバルーンタイムが、この様に入っています

このリュックに見覚えは?」


バルーンタイムは、かなり大きい

パーティーグッズのヘリウム缶を想像していたので、大きさに驚いた


「リュックは4月半ばに私の実家で貰った物です」


長女が「そういえばこないだ、このリュック蹴りました

次男の机の近くの床に置いてあって、

足で蹴ってしまったら転がって…

大きな割には随分軽いなと思いましたが、

中身までは確認してないです」と言った


「いつですか?」

「わかりませんが最近です」


「どこで買ったかわかりますか?」


わかる訳なんかない

こんな大きなヘリウムの存在も知らなかったし、

ドリエルなんて薬の名前も聞いた事なかった


うちは全員、寝るのが趣味と言っていいほどよく眠る

私には眠れなくて困る悩みなんて無かったのだから…





次男は、遊具で遊んだり、虫を捕まえたりできる公園が好きだった


うちの家族は虫とかが苦手なのに、次男だけは大丈夫で、

蝉やトンボやカブトムシなどを触ることが出来た


何故か家のカーテンレールに蝙蝠がぶら下がっていた時にも、次男に外に出して貰った事があった


さすがにその時は、少し怖がっていた





かくれんぼや、木登りも好きだった

土団子は、まん丸でとても固く作るのが上手で、

未だに割れず、きちんと取ってある