荼毘に付す
次男の遺品を指差し、
「こちらの荷物は、どうされますか?」刑事が聞く
「見たくないから全部捨てて下さい」彼氏がそう答え、
驚いた私は「だめーっ」と大きな声を出した
勿論、バルーンタイムや、ビニール袋、チューブなんかは見たくない
でも、リュックもテントも寝袋も、ヘッドライトや
トレッキングポールだって、
全部、次男が大切にしていた登山アイテムだった
きちんと持って帰ってあげないと、次男が可哀想だ
いらない物だけを残し、後は私の車に積んだ
「ドリエルは成分を調べたいので、預からせて下さい」と刑事に言われ、
私は「それは返さずに捨ててしまって下さい」と伝えた
次男は死装束を着せられている
本当に寝ている様にしか見えない
家族5人で次男を霊柩車に運び、彼氏はその車に同乗した
次男を乗せた車を追い、私は運転した
前日まで、あんなに寒かったのに、
嘘のように暑くなり、空は雲がひとつも無かった
「斎場は、ここから近いですから」葬儀屋はそう言ったが、
山を何個か超えて行く斎場は、やはり遠かった
葬儀屋に無宗教だと伝えると、お経は「南無妙法蓮華経」になった
私の親戚は日蓮の寺なので、子供の頃からこのお経を何度も聞いてきた
派遣なのか、このお坊さんはカンペを見ながらお経をあげる
下手だ、これは酷い…と思いながら聞き、
初七日も続けて行った
「お別れをして下さい」
次男の髪を撫でる
ほんの3週間くらい前に、
「床屋に行けなかったから髪を切って~」
と頼まれ、私が切った
頬を撫でる
こんな風に逝かせてしまう為に、育てた訳じゃないのにな…
最後に「ままが行くまで、まだ少し待っててね」と話しかけ、
次男は、お骨になった
大阪に行った時に、食べていたトルコ風アイス
お約束の渡され方をして、次男は喜んでいた
次男と長女
この時はネオン管のグリコの看板だった
長女が出張で行った時に撮ってきた
LEDになっていたらしい
私はネオン管の方が好きだし、
次男と行った場所が、無くなったり変わったりするのは寂しい
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