まだ少し待っててね

20歳の次男が2017年4月に自死しました

祖母の法事

今年の7月半ば、母方の祖母の13回忌があった

法事は親戚のお寺で行われた


始まる時刻より3時間、早く着いた

私と入籍して間もない夫は、一緒に来たのが初めてだったので、

子供の頃に好きだった駄菓子屋や、通っていたそろばん塾などを案内した

祖父のお店兼自宅があった所には、知らない人が家を建て替えて住んでいる


私は子供の頃、母の都合で何度か、祖父の家に預けられていた

幼稚園や小学校は、その度に変わった


歩いて浜に向かうと、懐かしい匂いがした

途中にあった西町プールは無くなり、何ヶ所か空地も出来ていた

夫は「海まで歩いて5分掛からないなんて凄い」と感動していた


砂浜は昔より狭くなって、テトラポットが置かれている

大正生まれの祖父は、

「俺が子供の時には、浜で野球が出来るくらい広かったのに、

年々狭くなっている」と言っていた


長女を妊娠8ヶ月の時に、肺癌で亡くなった祖父は

「子供が子供を産むなんて」

と、本当は怒ってた筈なのに、私に言わなかった

お茶の水の病院に、お見舞いに行く度、

「気をつけて帰れよ」と、小遣いをくれた


27年前の7月、晩御飯の支度をしていた私は、

玉葱を切っていると、後ろに人の気配を感じた

何回も振り返ったが、誰も居ない

すると、家に引いたばかりの電話が鳴り、

「お爺ちゃんが今、息を引き取ったよ」

と、母親が言った


祖父が寝ている棺に蓋がされ、釘を打たれると、

祖母は、棺にすがり付いて泣いていた

「私も入れて~私も入れて~」


それを見ていて苦しくなった私は、切迫早産になった

私が産まれた病院に運ばれ、“絶対安静"と言われた


15年後の7月、祖母は祖父の所に行った

「やっとお爺ちゃんに会う事が出来たんだね、よかったね、お婆ちゃん」

私は涙が出なかった


それから法事がある度に、家族で行っていたが、

今回の法事は、3年前に透析になった父、要介護4で認知症の母、

行方知れずの私の弟には知らせず、次男も欠けてしまった


御先祖様のお墓を掃除し、お線香をあげる時に

「お爺ちゃん、お婆ちゃん、お墓は違うけど次男くんを宜しくね」

と、お願いをした



従兄弟と私

法事の時に久しぶりに会った

お経を聞いていたら、次男の事を思い出し、涙が止まらなくなって、殆ど話せなかった


祖父母と叔母と従兄弟と私

毎年、夏祭りには、祖父の家に集まって

ご馳走を食べていた