祖母の法事
今年の7月半ば、母方の祖母の13回忌があった
法事は親戚のお寺で行われた
始まる時刻より3時間、早く着いた
私と入籍して間もない夫は、一緒に来たのが初めてだったので、
子供の頃に好きだった駄菓子屋や、通っていたそろばん塾などを案内した
祖父のお店兼自宅があった所には、知らない人が家を建て替えて住んでいる
私は子供の頃、母の都合で何度か、祖父の家に預けられていた
幼稚園や小学校は、その度に変わった
歩いて浜に向かうと、懐かしい匂いがした
途中にあった西町プールは無くなり、何ヶ所か空地も出来ていた
夫は「海まで歩いて5分掛からないなんて凄い」と感動していた
砂浜は昔より狭くなって、テトラポットが置かれている
大正生まれの祖父は、
「俺が子供の時には、浜で野球が出来るくらい広かったのに、
年々狭くなっている」と言っていた
長女を妊娠8ヶ月の時に、肺癌で亡くなった祖父は
「子供が子供を産むなんて」
と、本当は怒ってた筈なのに、私に言わなかった
お茶の水の病院に、お見舞いに行く度、
「気をつけて帰れよ」と、小遣いをくれた
27年前の7月、晩御飯の支度をしていた私は、
玉葱を切っていると、後ろに人の気配を感じた
何回も振り返ったが、誰も居ない
すると、家に引いたばかりの電話が鳴り、
「お爺ちゃんが今、息を引き取ったよ」
と、母親が言った
祖父が寝ている棺に蓋がされ、釘を打たれると、
祖母は、棺にすがり付いて泣いていた
「私も入れて~私も入れて~」
それを見ていて苦しくなった私は、切迫早産になった
私が産まれた病院に運ばれ、“絶対安静"と言われた
15年後の7月、祖母は祖父の所に行った
「やっとお爺ちゃんに会う事が出来たんだね、よかったね、お婆ちゃん」
私は涙が出なかった
それから法事がある度に、家族で行っていたが、
今回の法事は、3年前に透析になった父、要介護4で認知症の母、
行方知れずの私の弟には知らせず、次男も欠けてしまった
御先祖様のお墓を掃除し、お線香をあげる時に
「お爺ちゃん、お婆ちゃん、お墓は違うけど次男くんを宜しくね」
と、お願いをした
従兄弟と私
法事の時に久しぶりに会った
お経を聞いていたら、次男の事を思い出し、涙が止まらなくなって、殆ど話せなかった
祖父母と叔母と従兄弟と私
毎年、夏祭りには、祖父の家に集まって
ご馳走を食べていた
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