まだ少し待っててね

20歳の次男が2017年4月に自死しました

母の溺愛③

弟は、散々脛をかじった30歳を過ぎてから、反抗期が来たらしい


子供達を連れて実家に行くと、2階の壁に穴が開いていたり、

冷蔵庫が凹んだりしていた

大学生の時に、ずっとボクシングをやっていたのだから、

そこそこのパンチ力は、あるんだろうが…


実家には、弟の彼女が泊まっている事が多かった

お風呂に彼女専用のシャンプー、リンス、

洗面所にコンタクトの液まで置いてあった


父と弟が何を言い合いしたのか、内容は知らないが、

喧嘩をした後、弟は実家を出たらしい

母が仕事から帰ると、もう居なかったと言っていた


きっとこれから、彼女と同棲を始めるんだろう…と私は思った


「就職してから10年も脛かじってたんだから、

相当、貯金もあるだろうし、ま、いいんじゃないの?」

「よくないよ、結婚したら同居するって言ったから戸建にしたのに」

ああ、まだ言ってるよ…

「だから大学生に聞いても無意味って言ったでしょ?」


弟は母に住所を教えなかった

実家に届いた弟宛の郵便物は、いつも会社に送っていると言っていた



「結婚する事になったから」

久しぶりの連絡に喜んだ母は、弟と待ち合わせをした

「郵便局に行ってくれない?」と弟に言われ、母は車で乗せて行った

「金下ろしてきて、300万」

「え?」

「それ払わないと、式あげられなくて困るんだよね」

そこまで聞いて私は「まさか渡したの?」と聞くと、母は

「だって困っている様だったから」と答えた

「バカじゃないの?」

「でもね、これからクリーニングに出そうと思っていたブラウスの、

クリーニング代を払ってくれたんだよ

本当に優しい子なんだから…」


母にも呆れたが、弟は人としておかしいと思った

祖母が亡くなった時に入った遺産を、弟は母から取りあげた


一般的に、女親は息子が可愛いという

でも、うちの母は、本当に異常な溺愛ぶりだった