まだ少し待っててね

20歳の次男が2017年4月に自死しました

替えうた

昨年の春、次男が逝ってしまう少し前から、逝ってしまった次男を迎えに行くまで、
車のコンポには、ユーミンのトリビュートCDが入れっぱなしになっていた


このCDは、鬼束ちひろの“守ってあげたい"から始まる

鬼束ちひろ 守ってあげたい


私の助手席で次男は「醤油の発注多い多い...♪」と、歌っていた
「変な替えうたー」私は笑った


ふと、あの替えうたは何?と思い、検索してみると
ニコ動でターミネーターのMAD動画があった
きっと、これを見たんだな…
そう思いながら、私には面白さがわからなかったけれど、最後まで流した



感覚って何なんだろう
それを聴いていた頃の情景や感情が、ぱっと浮かんだりする


“守ってあげたい"が入っている“昨晩お会いしましょう"
9歳だった私が、塾の先生にダビングして貰い、
よく聴いていたアルバムだった
「ポートピアに連れて行ってあげるからね」と、母に言われ
「約束したのに、神戸に連れてってくれなかった」
と、母を責めた事とかも思い出す



同学年の夫と私が、知り合ったばかりの頃、何故かユーミンの話になった
「俺が初めて買ったユーミンのレコードは、
“昨晩お会いしましょう"だったんだよ
東京と東北と離れた場所で、
同じ時期に同じアルバムを聴いていたんだね」


3年前、TSUTAYAでCDをレンタルして、久しぶりに聴いた時、
「ぱっと昔にトリップしない?」夫が言った
本当に、この感覚は不思議だ



カンナ8号線




鬼塚ちひろの“守ってあげたい"は、これから聴く度にずっと、
次男の替えうたを思い出すんだろう…



長女が昔の携帯で撮った次男
小学生の時に「らんらんるー」動画が流行って、
私のPCで、いつもYouTubeを見ていた


次男のぬいぐるみと白黒猫

子供の詩


「木蘭の涙~acoustic~」スターダスト☆レビュー【LIVE】



次女が産まれて間もない頃、新聞に載っていた子供の詩を書いた女の子は、
次女と同じ名前(ひらがなで少し珍しい名前)だった




あいにきたよ


おねえちゃんはね
「おさきにしつれい」
っていちばんにでていったよ
つぎに おにいちゃんが
「じゃあね。さいごにこいよ」
って いなくなったよ
おかあさんのおなかのなかは
すごくひろくなったけど
あんまりしずかでさみしくて
(次女の名前)も いそいで
みんなにあいにきたよ




元々、私は「子供は3人産もう」と考えていて、
出産は次女で終わりのつもりだったので、この詩は、うちみたいだと思った
「うちと同じ順番で産まれて、名前も同じなんて、凄い偶然だな」
新聞を切り抜き、次女のアルバムの最初のページに貼った


年が明けて少し経つと、次男を妊娠した
次女と産まれた次男の年の差は、1年と21日
新聞の詩とは違って、次女が私のお腹から出た時には、
次男が私のお腹の中で待機していた



次男が逝ってしまった直後、私は混乱していた
あの時に次男を産まなければ、こんなに悲しい思いはしなかったのに…
と、酷いことを考えたりもした


でも、やっぱり、私の子供に産まれてくれて良かった
思い返すと大変な事もあったけれど、色々と楽しいことの方が多かった



「次男くん、うちに来てくれてありがとうね」




次女は本当に次男と顔が似ている
顔が小さな所も、顔のパーツも、体が細い所も…

年子なので、幼稚園から中学校まで9年間、
一緒に通い、中学では部活も同じだった
口には出さないが、兄弟の中で1番、悲しんでいるのは、次女かもしれない

桜チップ

うちは、表玄関と裏口と出入り口が2ヶ所ある

夫と娘2人は、表玄関を主に使い、息子2人は裏口を利用していた


裏口はビルトインの駐車場になっていて、

私の車と長男の原付バイク、次男の自転車が止めてある


裏口のドアの向かいには、私達の寝室がある

表玄関よりも裏口から出た方が、長男が借りている駐車場までの距離が、

少しだけ近いが、去年の春から長男は、寝ぼけた私が

「次男が帰ってきた」と思わない様に、裏口からの出入りをやめた


毎日、私の通勤や子供達の送迎、日頃の買い物に乗っていた車に、

今では週に2~3回しか乗らなくなった


車の隣には、次男がたこ焼き屋でバイトを始めてから、

最初の給料で買ったマウンテンバイクが止めてある

そして次男が愛用していた燻製器と、桜チップや炭が置いてある


チーズや鶏ささみの燻製を「ビールのつまみに食べて~」と、

よく私達に作ってくれていた

冷凍庫には、次男が買った鶏ささみが、今も冷凍されたままだ


去年の春まで、ここに居たはずの次男は、勝手に消えてしまった


玄関の靴箱の上には、高校の先生が持ってきてくれた次男の写真が飾ってある

私は仕事に行く時、次男の頬を撫でながら「行ってきます」と、言う

いつも次男は、表情を変えず

「行ってらっしゃい」と答えてはくれない



白黒猫のトイレの仕方は変だ


うんこハイで尻尾が2倍の太さになる


いつも興奮する白黒猫