まだ少し待っててね

20歳の次男が2017年4月に自死しました

警察署へ

「誰か1人だけは留守番して欲しいって」

私は、そう言った

「嫌だよ、留守番なんかしたくない」と子供達は拒んだ


次男の身分を証明する物なんて何も無かった

免許も住基カードも持っていない


とりあえず、写真と年金手帳、キャッシュカード、

保険証、内科の診察券とレシートの裏の書き置きを持って家を出た


私はナビをセットした

ナビは軽井沢経由の道を案内していた


GWだから渋滞で、なかなか進まない


動かない車を見ながら、軽井沢には2回くらい連れてきたな…と考えていた



長男が「次男は、たまにヘリウムで声変えて遊んだりしてたけど、

あんなのじゃ死なないよ」と言った


でも少し前にヘリウムで重体になってたアイドルが居たよね…?

じゃあ事故って事?…

山登りに行く時に、ヘリウム持ってくの?

山で声を変えて遊ぶかなあ?


考えていると訳がわからなくなり、

それからは無心で運転していた


やっと警察署に着いた時には、家を出てから7時間以上経っていた


受付から刑事課に行き、小さな部屋に通されると、

机に色々な物が並べられていた


「次男さんの持ち物で間違いないですか?」


「はい」



頭の中が真っ白になった






夏休みに軽井沢の火山の博物館に行った

次男は博物館が大好きだった



名前は忘れたけれど、滝にも寄った

マイナスイオンが流行ってた頃だった