まだ少し待っててね

20歳の次男が2017年4月に自死しました

2年前のお盆

2年前の8月11日、私達家族5人は夜中から、車で東北へ向かっていた


爆睡している子供達を盗撮

次女と次男は、同じ寝顔をしている


長男は踏まれて、後部座席はぐちゃぐちゃだ



「年内には結婚前提で一緒に住もう」

そう言っていた彼氏は、一足先に新幹線で帰っていた


彼氏の実家に着くと、玄関で

「遠いのによく来てくれたね~」

と、彼氏の両親と弟夫婦に1歳半の甥っ子が、迎えてくれた


「疲れたでしょう、あがってあがって」と言ったお母さんは、

耳が聞こえないので、筆談で挨拶をする


ホテルの厨房で働くお母さんが、2つ並べたテーブルに、

てきぱきと皿を並べていく


まだ昼過ぎなのに、凄い量の料理に圧倒されていると

「年に1回だけだから、こうやって振る舞うのを楽しみにしてるんだよ」

彼氏が言った


彼氏の実家は明るく笑いが絶えない

次男は「じーじの家(私の実家)とは、大違いだね

明るくていいな…楽しい」と言った


飲めないお酒をグラスに注がれると

「僕はまだ未成年だから」と一旦断り、

少し飲むとダウンした


次の日、次男はお父さんと一緒に、

墓掃除のお手伝いに行った


長女は仕事がある為、1泊で帰った

お父さんに「16日の夜からの盆踊りを見ていけばいいのに…」と言われたが、

私と彼氏は15日から台湾に行く事になっていた


「また来年、皆で来ますから」

私達は2泊すると、彼氏の実家を出た



私は3回目の台湾だった

九份は2回行ったが、十份は初めてだった

この電車が居なくなると、一斉に線路に立ち

4人で願い事を書いたランタンを、

ラプンツェルの様に空に飛ばす

私達が書いたランタンは、木に引っ掛かり燃えてしまった

その時は「不吉だ」「なんで、うちらのだけ~」と言いながらも、

おかしくて、彼氏と他の人達と笑って見ていた


あの時、木に引っ掛からずに空に消えていけば、

私の願い事は叶った?


“家族全員 元気で楽しく幸せに過ごせますように"


当たり前だと思っていた日常は、当たり前では無かった…

とても恵まれていたんだ…


次男というピースが欠けてしまった私は、もう幸せが完成する事はない

たぶん私が死ぬ時まで、次男が逝く前の様な幸せは感じられないんだろう