まだ少し待っててね

20歳の次男が2017年4月に自死しました

過去の私⑤

先輩の卒業式予行練習日の朝、5時頃に母に起こされた私は、

朝なのに母が起きているなんて珍しいな…と、思った

「今からお爺ちゃんの家に行くよ、

荷物は何も持たなくていいから」と言われ、

「学校は?」

「行かなくていいから」急かされた

酔っ払っていた男が、布団で爆睡している隙に、逃げる様にマンションを出て、

弟と3人で東京駅までタクシーに乗った


「男の暴力で骨折したら目が覚めたからマンションを買った」と、母は言っていた


祖父の家に行くと、後日、母は男と別れ話をする為に、

祖父と、叔母(母の妹)夫婦、母の弟を引き連れて、住んでいたマンションに向かった

別れ話は1日掛かりになった



私は母に、結婚するなら…と3つ条件を出した


・中学は転校しない

・苗字は変わらない

・父親面をさせない


「これを飲めるなら勝手にすれば?」と言った


私は、母の男好きに呆れていた

やっと解放されると思っていたのに…

この人も、あの男みたいだったら、どうしよう…

英会話の先生だなんて、私を騙して会わせるくらいだし…


買ったマンションに入居する4月1日までは、

祖父の家に泊まった


「転校手続き、しておいたからね」驚いた私は

「条件の約束は?」と聞くと

「キャップに待伏せされて、見つかって殺されるよりいいでしょ」と言われた


中学3年になる私は、学校の友達に

「さよなら」も言わせて貰えず、いきなりの転校になった


赤ちゃんだった私は、この忍者の枕カバーが、怖くて大嫌いだった


ステレオの上の物を落として、よく怒られた


母は、たぶんこのマフラーが好きだ

いつも私の首に巻いていた


私は、小さな頃からの記憶が案外ある

長女に聞いたら、小さな時の事は、あまり覚えていないと言う