まだ少し待っててね

20歳の次男が2017年4月に自死しました

8回目の命日

2年前に越してきた今の家は、前の家よりも部屋数が少なく、子供部屋は3部屋しかない

4人はジャンケンで部屋割をした

長女と次女は個別の6畳部屋に、長男と次男が8畳の相部屋に決まった


次男が寝ていたロフトベッドは、次女のおさがりだった


次女は4歳からピアノを習っていたが、

中学で吹奏楽に入部すると決めていたので、

小学校を卒業する直前から、トランペットも習い始めた

その時に中古のトランペットを買った


次女が中1の秋、生徒会副会長になったので

「ボーナスが出たら、お祝いで新品のトランペットを買ってあげるよ

予算は20万円くらいね」私が言うと

「トランペットとシャイニーケースと、ロフトベッドが欲しいんだけど」と次女は答えた


シャイニーケースは、案外高かった

結局、楽器店で13万円くらいのトランペットとシャイニーケース、

ニトリでロフトベッドを買った

そして中古で買ったトランペットは、次女が次男にあげた


次の年、次男が中学で吹奏楽に入部すると、トランペットで希望を出したが、

男の子だからという理由でチューバになった

チューバの値段は150万円くらいすると聞いたので、

学校の楽器をレンタルして、マウスピースだけを購入した


前の家に住んでいる時、あんなに欲しがって買ったベッドを

「やっぱりいらないから弟にあげる」

と、次女が次男にあげた

次男は居なくなるその日まで愛用していた


次男が居なくなって暫く経ち、長男は遺品整理を始めた

たまたま部屋に行くと、長男が次男のボーイスカウトの帽子を捨てようとしてたので、

私は慌ててゴミ袋から拾った

「なんてことすんの」私が怒って言うと、長男は

「だってボーイスカウトに入らなかったら、弟は山なんか好きにならなかった」


長男が部屋を片付け、ロフトベッドを解体した

私は、次男がいた部屋から次男の形跡が消えていくのが寂しくて、リビングに戻った

今は、次男が過ごしていた部屋とは全然変わってしまっている


次男が買ってくれた、このカレンダーは、あと2日で終わってしまう

この家から少しずつ、少しずつ、次男の形跡が減っていく…