まだ少し待っててね

20歳の次男が2017年4月に自死しました

過去の私⑥

新居では毎晩、私の前で母達がイチャイチャしていた

母が水商売を辞め、夜に家に居るのが不思議な感じがした


先生はフィリピン人と婚姻中で、まだ母と入籍が出来ずにいた

その人は、日本の永住権が欲しかったから結婚しただけで、子供も居なかった

「違う人と結婚するから、離婚してくれ」

そう言うと、その人は失踪してしまったらしい

探偵を雇って半年後、ようやく見つかり、離婚成立となった


「苗字は変えないし、父親面をしないで」という条件で、私は母の結婚を認めた

既に「転校しない」という条件は反故にされていたが、

「後の2つは、きちんと守って」と伝えた


「今日から苗字変わったからね」

「え?」

中学3年の11月に突然言われた

「養子縁組を組んだから…

(私)は14歳だから、親の言いなりになるしかないんだよ、

仕方ないね」母が言った


「苗字が同じになったのだから、必ず今日からお父さんと呼びなさい

これ、お近づきの印ね」

新しく父になった先生は言いながら、私に1000円渡してきた

私は1000円で買われた様な、嫌な気持ちになった

お調子者の弟は「お父さ~ん」と、すぐに懐いたフリをしていたが、

私は相変わらずな態度を取り、お父さんとは呼ばなかった


一緒に住んでいても、性格も合わないし、沢山の嫌がらせをされた

「この人を家族なんて認めない、お父さんなんて絶対に呼ばない」

私は、早生まれな自分を恨んだ

15歳になってれば、嫌だと拒む事が出来たのに…


最初から騙して会わせた訳だし、3つの条件全ても反故にされた私は

「許せない…」

母と新しい父親に対してあった不信感が更に大きくなっていった




2歳の私が、お気に入りでよく着ていたワンピース


毎日、遊んでいた まことくん

三輪車をひっくり返して、石焼き芋屋さんごっこをした

泣かせてしまうと、まことくんのお母さんは、

うちにいつも怒鳴りこんで来て、母が謝っていた

過去の私⑤

先輩の卒業式予行練習日の朝、5時頃に母に起こされた私は、

朝なのに母が起きているなんて珍しいな…と、思った

「今からお爺ちゃんの家に行くよ、

荷物は何も持たなくていいから」と言われ、

「学校は?」

「行かなくていいから」急かされた

酔っ払っていた男が、布団で爆睡している隙に、逃げる様にマンションを出て、

弟と3人で東京駅までタクシーに乗った


「男の暴力で骨折したら目が覚めたからマンションを買った」と、母は言っていた


祖父の家に行くと、後日、母は男と別れ話をする為に、

祖父と、叔母(母の妹)夫婦、母の弟を引き連れて、住んでいたマンションに向かった

別れ話は1日掛かりになった



私は母に、結婚するなら…と3つ条件を出した


・中学は転校しない

・苗字は変わらない

・父親面をさせない


「これを飲めるなら勝手にすれば?」と言った


私は、母の男好きに呆れていた

やっと解放されると思っていたのに…

この人も、あの男みたいだったら、どうしよう…

英会話の先生だなんて、私を騙して会わせるくらいだし…


買ったマンションに入居する4月1日までは、

祖父の家に泊まった


「転校手続き、しておいたからね」驚いた私は

「条件の約束は?」と聞くと

「キャップに待伏せされて、見つかって殺されるよりいいでしょ」と言われた


中学3年になる私は、学校の友達に

「さよなら」も言わせて貰えず、いきなりの転校になった


赤ちゃんだった私は、この忍者の枕カバーが、怖くて大嫌いだった


ステレオの上の物を落として、よく怒られた


母は、たぶんこのマフラーが好きだ

いつも私の首に巻いていた


私は、小さな頃からの記憶が案外ある

長女に聞いたら、小さな時の事は、あまり覚えていないと言う

過去の私④

私は、小学5年の時に「英会話を習いたい」と母に頼んだ

習字、そろばん、スイミング、塾と

既に習い事が多かった為、却下された


中学2年の秋、友達とディズニーに行く約束をした私は、

「ディズニー行くから、お金頂戴」と言った

母は「今度の日曜日から、英会話習わせてあげるから、

ディズニーは今度にして」と答えた

「女の先生でね、可愛い犬飼ってるから、きっと(私)も気に入ると思うよ」


英会話を習いたいって頼んだのは、小5の時なのに…と思いながら、

地下鉄に乗って待ち合わせの駅まで向かう

母は指をさし「あの人だよ、犬連れてる人」と言った


犬を連れているのは、禿げた中年親父にしか見えない

私が黙っていると

「ああ、男の先生って言うと(私)来なかったでしょ?」母が言った

それから毎週日曜日は、英会話に通わされた


中学2年の終わり頃、男が留守の時に母が言った

「マンション買ったから今度引っ越すけど、キャップには内緒ね」


毎晩あの男が、ベッドに入ってくるのが苦痛で堪らなかった私は、

本当に救われた気がした


「じゃあ、やっとこれから家族3人で生活できるんだね」私が言うと、

「ううん、お母さん、結婚するから…(私)も知ってる人だよ」母が答えた

「え?」

「英会話の先生だよ」


私はその時、ハメられた…と思った



どこの遊園地か不明

緑があるから後楽園じゃないと思う

豊島園?西武園?

母と私

男も一緒だった、父かもしれない